高知県児童水難事故 二回目の署名運動 (2020.5)

 高知県で起きた小学生の水難事故。去年から見てて、署名活動の一回目は参加。二回目は今のところ保留。署名活動の妨げになったら申し訳ないが、この事故案件は民事訴訟を起こして争った方が良いのではないかと個人的に考えます。
高知県児童水難事故は民事訴訟を起こして争ったほうが良いのではないかTwitterスレッド

①児童は立件出来ない
 少年法により13歳以下を立件出来ず、刑事責任年齢に達していないため、刑罰は受けない。11歳は「おおむね12歳以上」に含まれ少年院送致される可能性がある。

②署名の有効性
 法律上、多数の人の署名が効力を有するのは、地方自治法に規定する直接請求の場合に限られています。過去にネット署名は児童扶養手当法も育児介護休業法も改正させることができたが、その有効性は直接請求の場合が多い。
※直接請求:地方公共団体の住民が、一定数以上の住民の署名をもとに議会やその他機関に請求するもの。有権者総数の50分の1以上の署名をもって地方公共団体の首長に条例の制定や改廃を請求したりできる(以下、記事引用)。
ネット署名は世の中を変えることができるのか 署名サイトChange.orgの4年間 2016年12月17日 ねとらぼ

③民事訴訟について
 刑事事件は少年法により13歳以下を立件出来ない。なら、その責任は誰が負うのかというと保護者である。今回の事故案件は”監督義務者の責任”で損害賠償訴訟をすれば良いのではないかと考えるが、このような場合は”いじめ”を認めさせないと難しい。民法714条1項(責任無能力者の監督義務者等の責任)による賠償金を認められる判例は様々あるが、一般的な通念上の過失が認められた場合に限る。

例1) サッカーボールで遊んでいた少年が道路を歩いていた老人にボールが当たりそうになった。老人がボールを避けた際に負傷しその後死亡した。少年の親に民法714条1項(責任無能力者の監督義務者等の責任)等に基づく損害賠償が請求された。原審では損害賠償請求を一部認容してたが、最高裁判決は、この判断を覆し賠償請求を棄却。なんで覆されたというと、簡単に言うとサッカーボールが外れて人に当たることは偶然でわざとじゃないから過失は認めませんということ。
※原審:その裁判の一つ前の段階で訴訟を審理した裁判。原裁判。

例2) 児童が自転車で坂道を走って女性と正面衝突。女性は寝たきりになり、児童の母親には監督義務違反として一億近い賠償金が判決として出た。少年の前方不注視が事故の原因と認定。事故時はヘルメット未着用だったことなどを挙げ、「指導や注意が功を奏しておらず、監督義務を果たしていない」とした。

この二つの例をみると、”偶然性か偶発性”と”過失に繋がる義務違反の有無”があると考えられる。例1のサッカーボールが当たるかどうかはわざと当てにいってるわけではなく、コントロールできない偶然性がある。そして、サッカーボールを扱うグラウンドで球技を行っていたことは、日常的な光景であるため人身に危害を加える行為は予見できないとし過失は無いとされる。例2は坂道でスピードを出し、前を向いていないことから事故につながる可能性が高い(偶発性)。ヘルメットも着用していないため、日常的に指導が怠っており、結果、過失に繋がる義務違反が有ったとされる。

【参考】平成24年(受)第1948号損害賠償請求事件
母親驚愕「息子の自転車事故の賠償金9500万円」の“明細”は… 2013年7月 産経ニュース

④”いじめ”について
 いじめ問題で民事訴訟をする場合は第三者に認められないと難しい。この部分は重要であり、いじめ認定の有り無しが決め手といっても良い。ただ、事件の概要を見ると"いじめ"という確定されていないワードが過る中、"亡くなった子の自転車を乗っていた"、"図鑑と靴をどうするか相談している"という不可解なやり取りが"いじめ"というものに結び付けられるかは分からない。

⑤弁護士について
  一つの事案について複数の弁護士と相談したことがあるが、それぞれ色が異なるので複数の弁護士の意見を聞いた方が良い。弁護士は専門性の区分は無いが各々得意分野がある。勿論、いじめ分野に強い弁護士はいる。

⑥損害賠償請求額
・亡くなられた息子さんの予想される生涯年収(期待値無し)。過失が認められた場合、例えば20歳から定年までの65歳を月20万とすると、以下の損害賠償請求額が計算される。尚、出世や転職などの年収アップといった期待値は取り入れられない。
20万×12か月×45年=1億800万円
・誹謗中傷による慰謝料(別訴訟)←ツイッターによる攻撃等。基本的にツイートなどによる誹謗中傷は民事では少額訴訟。名誉棄損は刑事。
・”いじめ”を認定された等の前提が必要であると考えられる。

⑨-2 署名の有効性の可能性について
 痛々しく不可解な事件であることは間違いない。再捜査が叶わなくとも、②で述べたように署名は法的効力がないのだが、判断材料にはなる。例えば、民事訴訟を起こす場合は訴状に証拠書類として提出する方法もある。つまり、刑事でダメだったから民事で争って真相を追求したい旨を伝えるため、背景として署名活動内容を訴状にて訴える。

⑨-4 民事訴訟で賠償請求は認められる?
  当事者でもなければ、証拠がどのくらい残ってるかなど分かりません。ただ、和歌山毒物カレー事件などを見ると直接的証拠が存在しなくても、状況証拠で裁判官が異例の判断をする場合もあるのではないかと考える。大事なのは状況証拠を積み重ねていくことです。相手側の矛盾点も見つけることは大事ですが、ただ、子供の供述の取り扱いは"親をかばう"、"記憶が曖昧"などの問題で大変難しくあるそうです。

⑩大手メディアは取り上げるのがコワい?
  第三者委員会が発足しないのは何故か。誰もやりたがらない、手を挙げてくれる人がいないからではないか。大手メディアも取り上げないのは世論がコワいから。報道や記事を見ると障害者×児童の二大デリケートワードはメディア関係者は触りたくないんじゃないか。事件報道の偏見意識などから、差別的な記述やプライバシーの問題など叩かれやすい印象がメディアが取り上げる部分に影響が出やすい。

⑫反論や意見どうぞ
  一つの課題について、その問題を昇華させるのにTwitterという場を借りるのも良いのではないかと。Twitter上で一番嫌なのが、相手が理論的に説明できず、反論すると理論的に説明できないのかブロックしてくる行為だ。本スレッドでも見るが、抽象的な説明と物言いが多い。Twitterでの呟きは自由なので構わないが、反論や文句が相手にあるなら、文章でやり取りするTwitterの性質上、理論的に文章で来なければならない。本質的な問題として、解決に向けてどのような原因があり、それに対して傾向と対策を問題定義したかったのだが、その流れに向かなかったのが残念である。

⑬個人情報保護法について
  署名運動は署名による個人情報を取得する際に個人情報保護法が適法される。そのため、署名に対する明瞭な説明文 ?分かりやすい連絡先記載(リンク厳禁) ?相談窓口の設置などといったことが必要である。法人は必須だが、個人で活動されていても該当され、利用目的を具体的に明瞭にしなければならない(個人情報保護法第15条第一項)。例えば、警察庁に向けての署名提出の具体的理由など。"保有個人データの開示請求"という項目にも注意されたい(個人情報保護法第35条)。※ツイート投稿時

⑭ツイートによる訴訟
 高知県小学生水難事故は現在事故と断定されています。今後の行く末は分かりませんが、憶測で過激なツイートをしてる方は、加害者側または被害者側からの訴訟問題に発展しないようツイートに注意することを念頭に置いたほうがよいと感じる。Twitterのツイートによる誹謗中傷での名誉棄損は訴訟対象で判例も多い。一方、名誉棄損に該当しないケースで、公共の利害が生じる場合、公益をはかる目的がある場合、真実であると証明できる場合の3つがあります。Twitterで根拠もなく、真実性を証明できない名誉を貶めるツイートはNGです。

⑮-1 引用ツイートの危険性
  このスレッドでも見かけるが、引用ツイートを利用して、その1部事実を拡散リツイートすることで評価を下げさせる行為が見受けられる。仲の良いフォロワーがそれをまた拡散させ、これは”いじめ”の助長と危惧し、SNS上で大変問題になっている。民事上の名誉毀損行為の成否は、「人の社会的評価を低下させる表現であるか否か」である。

⑮-2 拡散RTは訴訟対象?!
 引用ツイートから拡散リツイートは、行った者が自己の責任を担う。平成30年 大阪地方裁判所が判決で述べてます。 最近では女子プロレスラーの木村花さんの自殺、元大阪府知事の橋下徹さんがジャーナリストの岩上安身さんに慰謝料などの損害賠償を求めた訴訟、ジャーナリストの伊藤詩織さん風刺画名誉棄損訴訟、いずれも誹謗中傷の広がりが拡散リツイートによるものであり、この様な悪質なケースは訴訟になっている。
[参照] 大阪地方裁判所平成30年(ワ)第1593号、平成30年(ワ)第7160号 損害賠償請求事件
"伊藤詩織さん、漫画家はすみとしこさんら3人を提訴。「枕営業」などツイートめぐり" HUFFPOST 2020年06月08日
"橋下氏批判の「リツイート」は名誉毀損 二審も判決支持" 朝日新聞デジタル 2020年6月23日

⑯ 最後に
  伝えたいことは述べたが、疑問が残って不完全燃焼。民法の考え方は被害者救済。泣き寝入りしないよう考え呟いたが、所詮、外野が野次を飛ばす程度。被害者遺族が前向きに歩けること、加害者家族も二度と悲劇を産み出さない働き方と心を持ってほしいと祈りつつ、本スレッドを終了致す。
 このスレッドを作成して、数人から意見などを頂いた。この事件に対して時間を割いてまで尽力し考えて下さっている方、アンチと認定されてしまうからとアドバイスを下さった方、どのような意見を言われようと遺族の署名活動に賛成している方、皆 遺族の方に対して真摯な気持ちを持っていた。一方、このような有用な意見がTwitter上でツイートしにくい背景もあると感じ取れた。意に添わぬ意見は受け入れがたいこの背景が残念でならない。
 本スレッドは事故という案件で "加害者" というキーワードを使用するか迷ったが、民事訴訟をテーマにした本スレッドの場合、分かりやすく "被害者" と "加害者" という形を使用している。

 民事訴訟で"いじめ"を証明するのは難しい。月日が経った今、野外の証拠等は可能性が著しく低く、一回目の署名と同じような結果(聞き込みだけ)しかならないのかもしれない。私見だが、経済的な問題もあると思うが、敢えて勝負に拘らず民事訴訟で "司法に委ねる" という選択も身勝手ながらに思う。それは "少年法に守られている"、"不可解な児童たちのやりとり"、"捜査機関の疑心"などを司法がどのように判断するかは未知数だからである。



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